スマホ決済の可能性

最近、町中の小さな個人商店に入ると、スマートフォンやタブレットで会計を行っているのを見かけるようになりました。これには、スクエアーやコイニーなどというクラウド型のクレジットカード決済が普及してきたことが背景にあります。
従来、POSレジスタを導入するには、少なくとも数十万円の初期投資が必要でした。また、クレジットカード決済を行うには、加盟店としての厳しい審査にパスする必要がありました。小規模の事業者がPOSレジを導入し、クレジットカード決済を行うには、かなり高いハードルがありました。
それが、スクエアーやコイニーなどのスマートフォン決済の登場によって、初期投資がほぼゼロで可能になりつつあります。
■ スマホ決済のメリット
スマホ決済のすごいところは、2点あります。
第一は、先述のクレジットカード決済の導入が、ほぼ無審査で可能になることです。さらに、従来のクレジットカード決済では、店頭での決済から店への入金まで一ヶ月以上の期間を要していましたが、スマホ決済の場合、翌日から5日以内に入金されます。店舗の資金繰りにとっても有効です。
第二は、クラウドサービスとして、POSシステムの機能が使えることです。無料のアプリをダウンロードすることで、手持ちのスマホやタブレットがPOSシステムに早変わりします。クレジット取引だけでなく現金取引も記録できるので、1日の取引を商品別・入金手段別などに集計するなども容易に行えます。小規模の事業者ならこの機能だけで、取引の全体を管理できそうです。
余談ですが、私の大学の学生は、スマホ決済を大学祭の模擬店の売上げ管理に使うと言っています。
■ 小規模事業者のIT活用の決定打となるか
クラウドコンピューティングとスマートフォン・タブレットを組み合わせたクラウド型サービスが多く登場しています。スマホ決済だけでなく無料のクラウド型会計ソフト、名刺管理システムなど、少し前では考えられないような高機能なソフトが、無料に近い金額で使えるようになっています。しかも操作性がよくなっているため、小規模事業者でもすぐに導入が可能になっています。
従来、中小企業のIT経営は、ある程度の規模の中小企業を主な対象としてきました。しかし、従業員20名以下の小規模事業者は、我が国企業数の86%を占め、従業者数でも全従業者の26%が小規模企業で働いています(中小企業白書2014)。
これまでは、事業規模が小さいためIT活用の効果が少なく、投資対効果が見込めないとの理由で、小規模企業のIT活用は見過ごされてきました。しかし、発想を変えれば、1社あたりの規模は小さくとも、企業数が多い分だけ”大きな市場”ととらえることが出来ます。
要は、新しい発想で小規模企業向けビジネスを考えることでしょう。
参考文献
・時代はスマートフォンでクレジットカード決済!
http://smahopayment.client.jp/
・中小企業白書(2014年版)
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/h26_pdf_mokuji.html
(社)みちのくIT経営支援センター ブログより転載
http://www.mitbac.org/2014/07/06/スマホ決済の可能性/